某博士課程のblog 2

私立6年制薬学部卒,博士課程進学者のblogです.記事の前にカテゴリ中のprofile(随時更新)をご覧いただきたいと思います.

抗体医薬品は完全ではない.BSB仮説の話

orange ~ 27 glass antibody

今日は少し薬学の用語について解説したいと思います.

BSB仮説という言葉です.

Binding Site Barrier 仮説

抗体医薬品の効果が予想より低下する原因の1つとして有望な仮説です.

抗体医薬品の多くはがん細胞に特異的な抗原を認識するため,

副作用も少なく非常に有効な医薬品です.

ハーセプチン(乳がん)やリツキサン(悪性リンパ腫)など知っている人も多いと思います.

しかし,その抗体の結合の特異性が高く,強力であるがゆえに,

抗体ががん組織表面ですべてがキャッチされ,内部に届かないことがあり得ます.

がん組織表面のBinding Site(結合部位)がBarrier(障壁)となります.

表面のがん細胞は抗体につぐ免疫反応で死滅できますが,

内部のがん細胞は生き残ります.

がんという病気は活発ながん細胞が1つでも生き残れば,

そこから増殖して,再発してしまいます.

がん組織中の全てのがん細胞を叩くのは容易ではありません.

抗体医薬品は画期的な医薬品ですが,

完全ではないということがお分かり頂けたでしょうか.

 

BSB仮説

Binding Site Barrier 仮説

簡単に一言でいうと「手前でくっついて奥に届かない」です.