抗体医薬品は完全ではない.BSB仮説の話
今日は少し薬学の用語について解説したいと思います.
BSB仮説という言葉です.
Binding Site Barrier 仮説
抗体医薬品の効果が予想より低下する原因の1つとして有望な仮説です.
抗体医薬品の多くはがん細胞に特異的な抗原を認識するため,
副作用も少なく非常に有効な医薬品です.
ハーセプチン(乳がん)やリツキサン(悪性リンパ腫)など知っている人も多いと思います.
しかし,その抗体の結合の特異性が高く,強力であるがゆえに,
抗体ががん組織表面ですべてがキャッチされ,内部に届かないことがあり得ます.
がん組織表面のBinding Site(結合部位)がBarrier(障壁)となります.
表面のがん細胞は抗体につぐ免疫反応で死滅できますが,
内部のがん細胞は生き残ります.
がんという病気は活発ながん細胞が1つでも生き残れば,
そこから増殖して,再発してしまいます.
がん組織中の全てのがん細胞を叩くのは容易ではありません.
抗体医薬品は画期的な医薬品ですが,
完全ではないということがお分かり頂けたでしょうか.
BSB仮説
Binding Site Barrier 仮説
簡単に一言でいうと「手前でくっついて奥に届かない」です.