これこそ学外交流の意義!薬学×理学療法
今日は少し薬学を知らないと難しいかもしれません.
他学部(特に医療系)と交流する意義はここにある.
先日実際にあった実例を紹介します.
facebook上でこんなメッセージがきた.
インスリンとL-DOPAの効果が効き始める,
最もよく効く時間帯などあれば教えてください.
彼は学外イベントで知り合った理学療法の学生だ.
今年の国家試験に向けて勉強中に疑問に思って僕に質問を投げかけたらしい.
他人から頼られるというのは嬉しい.
まして,他の学部から頼られるのは本当に光栄なことだと思う.
是非,すぐに返信したかった.
確かに,薬によっては時間帯で効き目が異なる.
多くの場合は,薬の標的となる酵素の活性に日内変動があるからだ.
例えば,リピトール(アトルバスタチン)などのコレステロール合成酵素阻害薬は
コレステロール合成が夜間に亢進するため,夕食後の処方が多い.
とりあえず,この例を述べてすぐに調べますと返信した.
たしかに,インスリンについては
午前中にインスリンの感受性が低下することが書かれていた.
が,L-DOPAについては不明.
でも解答としては何かすっきりしない.
確かに彼の質問には答えたが,これが何の役に立つのかが分からない.
もしかすると彼の意図する答えではない可能性がある.
もう一度質問をよく読むとやはり違和感があった.
彼は何故こんな質問をしたのか.
そこを知ればもう少し見えてくると思い,理由を聞いた.
すると薬を投与後にどのタイミングでリハビリをすればよいのか
ということらしい.
教科書的にはインスリンは1時間以上あけること,
L-DOPAは活動性の良いタイミングが推奨されているそうだ.
これは薬の効果が関係していると彼は考えたようだ.
そう考えて僕に質問してきた.
ただ暗記するだけでなく,こうやって考えて勉強できる点で,
彼は素晴らしい人だなと思った.
おそらくインスリンの投与後一時間を避けるのは,
低血糖によるふらつきを考えてのことだろう.
L-DOPAについては調べると,Wearing-offとon-off減少が書かれていた.
wearing-offとは投与に慣れると薬の効き目が短時間で失われる,
結果一日に症状の出現と回復を繰り返すこと.
on-offとは薬の血中濃度と症状の回復が比例しないこと.
その他no-onやdelayed-onなどがある.
確かに習った知識ではあった.
その場ではこんなことがあるのだというふうにしか考えずに言葉でしか,
覚えていなかったが,この相談で絶対忘れない知識となった.
パーキンソン病の症状をコントロールするのは難しい.
そしてそれがリハビリの時間帯を左右し,
理学療法士が時間帯を考えているということを知った.
これは重要な事だと思う.
これからもこういう関係を続けていきたい.
そして是非学外で交流することをおすすめします.